AEON−鎧拾遺伝サムライトルーパー−
交わる光と闇 2人の天空その4
ドラゴンを撃破して、柳生邸の玄関に向かう。ドアを開けた先が柳生邸のリビングではないことに3人は驚かなかった。
「・・・・・・今度はどこ?」
伸は見慣れない廊下を見つめていた。
ロートリンゲン家の館、山中湖の周辺を行ったのだから、今度こそ仲間達の所にたどり着いて欲しい。
そう思ったが、今度もまた長い廊下であった。しかも柳生邸の廊下ではなく、何処となく義兄の研究所を思わせるような場所だった。
「ここは・・・」
征士も初めて見るらしく、周囲を見回した。
「NGCだ」
伸と征士は竜樹を見た。竜樹の顔は蒼白だった。
「ここが?」
「ここで実験が繰り返されたのか?」
伸は狼人間を、征士は先ほどの蛇女を思い出した。
「懐かしくないけどな」
竜樹は先に立って歩いた。その時だった。
-----竜樹、そのまま行くとドラゴンに当たるぞ。
「当麻?」
伸はスピーカー越しの声に聞き覚えがあった。だが、竜樹は違う人物の名前を挙げた。
「月龍か?」
「どう聞いても当麻だと思うが?」
征士も伸に同意見だった。
「いや、当麻じゃない、月龍だ」
-----竜樹。防犯カメラがお前たちの後ろにある。
竜樹たちは天井を探すがすぐに見つかる。ドアの上にあったのだ。
「あー月龍もこっちに来たんか?」
竜樹は両手を振った。伸はそれを見て、かつて義兄と潜水時間を競った時に秀が遥か遠くの船に向かって手を振っていたことを思い出した。秀の天真爛漫さには義兄も笑ってしまった。
-----まっすぐこの時代に来たわけじゃない。
伸と征士は会話内容から当麻ではないことを把握した。そもそも一方通行なのに何故会話が成立しているんだ?
「お前、分かるのか?」
「あ、あいつ、読唇術ってのをやってんだよ」
唇の形を読む術である。聞こえない人もそういう技術によって理解するという。それでも正解率は人によって異なるが。
「・・・便利だとは思うけど」
当麻はそういう技術を持たない。声は同じだが、スピーカーのせいだろうか。相手は竜樹の解説好きに呆れつつも、説明していた。
-----解説はいいから、シャッターを下ろしたところ以外を通ってくれ。
シャッターの向こうにはドラゴンがいるようである。
征士は先ほどのドラゴンを思い出した。ああいうのが何匹もいたら身が持たない。急いで秀たちと合流したい。
伸も同じ意見だったようで、慎重に廊下を歩きながら「Security Room」を目指した。
途中、秀たちが会ったというヤモリ人間には会わなかったが、それでも蝙蝠人間にはうんざりした。竜樹がロッセで瞬殺したので伸たちが手を出す暇も無かった。
やっと仲間を見つけたときはほっとするかと思った。しかし征士と伸は見たことのある方を先ほど別れた当麻だと認めたが、もう一人の人物については目を丸くするしかなかった。当麻が数年年を取ったらこうなったのではないか。が、竜樹は見知った当麻ではなくもう1人に歩み寄った。
「あー・・・月龍。助かったぞ」
「こっちは助かってない」
月龍と呼ばれるらしい当麻に似た男性はげっそりとした顔で竜樹と向かい合った。当麻はというと、これまた焦燥感一杯に椅子にもたれかかっていた。伸と征士を認めると、軽く手を上げた。
「どういう意味だ」
「彼、君の兄弟かなにか?」
伸と征士の疑問に、当麻は分からないという顔をした。竜樹は3人のやりとりを目の端で捕らえた後で、遼に向き直った。遼は寝ているようだった。
「遼、大丈夫か?」
月龍が告げる。
「大丈夫だ、私がちょうどワクチンを持っていた」
「マジ?助かったよ」
竜樹は月龍に擦り寄るように感謝の意を示した。月龍はというと、竜樹に「備えあれば憂い無しだ。用意しておけ」とキツイ一言を食らわせていた。征士はそんな月龍を見て、当麻とは異なる存在であることを理解した。
伸は当麻を気遣いながらも月龍を見た。身長が180センチはあろうかという竜樹と並んで立っているのを見るとやや背が低いようだが、25歳の当麻が話しているようにも見えた。しかし雰囲気がまるで当麻と異なっていることに気づいた。椅子に座る当麻は皮肉な部分もある。知らない同性だと、反感を買うだろう。だが、月龍はまるで違う。当麻に比べて物腰は柔らかく、征士にも近いような気がした。第一印象としてひとまず好感が持てる。伸は月龍から目をずらして当麻の肩に手を置いた。
ここに、離れ離れになった「全員」が集束した。
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