AEON−鎧拾遺伝サムライトルーパー−

光の王-「異国の小夜曲」

NY編裏話妄想BY管理人7
2010年6月26日画像変更
ロサンゼルス-----合衆国西海岸に位置する観光都市。
最初こそトングヴァ族などネイティブアメリカン(インディアン)が沿岸で漁業をしていたが、後にスペイン、メキシコ領を経て現在の形に至った。
それでも交通手段は、地下鉄の発達しているニューヨークに比べてバスしかない。21世紀になってから交通手段も整ってくるのである。

このロサンゼルスに、1人と5人が降り立った。5人はバスでリトルトキオに向かい、1人はレンタカーを手配するとチャイナタウンに向かった。
レオンハルトは眉をしかめたままレンタカーを走らせた。
-----何ですぐ後ろに5人が居るのか。

飛行機から降りたレオンハルトがゲートをくぐろうとしたとき。
聞いたことがあるような若い声を聞いたので、振り向いた。
背後数人を挟んで、そこには5人がいたのだ。ちょうど伸がルナと秀の喧嘩を諌めている時だった。レオンハルトを始めとして数人が見ているのを見て、諌めたのである。
幸いサングラスをかけていたので、秀に気づかれることはなかった。仮に秀がレオンハルトを認めても、まさか欧州の中華街の者だとは思いもよらないだろう。
レオンハルトはゲートをくぐると歩き去る。
背後で「ほら、怒った人も居るじゃないか。君達、もう少し静かにしなよ」という伸の呆れた声が聞こえた。

-----別に怒っているわけではないのだが。
レオンハルトは気を取り直してハンドルを握った。
ロサンゼルスのチャイナタウンの一角に着くと、出迎えがあった。
出迎えたのは80はいこうかという老人で、江大人と言う。一見して好々爺であるが、若い頃は第二次大戦にも参戦した程の傑物である。彼の両脇にはスーツ姿のボディーガードが居た。レオンハルトが車のドアを開けると、彼らもまた恭しく出迎える。
「オーストリアのご当主殿、ようこそいらせられました」
「こちらこそ御大にかような出迎えを頂くいわれはございません、どうぞ楽に」
彼らの話している言葉は中国語だが、日本語だとこういう会話になる。
「いやいや、今は当主に委ねるしかございませぬ。・・・『鎧』が原因とあっては」
「・・・・・・」
「光輪の鎧がこちらに、しかも殺人を犯したとあれば不動の我らとても動かざるを得ませなんだ」
レオンハルトは江大人を見てうなずいた。
「継承者殿がオーストリアからはるばるいらっしゃったのは助かりますが、万が一オーストリアの・・・」
「大丈夫です。これは我々華僑とは無関係です」
「屍解仙とかいう外れ者がNGCのデータを元に何やら企んでおるのは突き止められましたが・・・アジトに乗り込まれるとか」
レオンハルトは、江大人の背後に揃った10人ほどの屈強な男達を見た。いずれも傭兵としては猛者であることをレオンハルトは見抜いた。相手はというと、褐色の肌の20の若者を見て眉をあげたりしたが、それ以上は何も言わなかったし、表情を変えることも無かった。江大人からよくよく言い含められているのが伺えた。
確かにレオンハルトはオーストリアの華僑を束ねる若当主であるが、柔和な外見に似合わず、傭兵達にも勝るとも劣らずの経験をしている。否、それ以上であった。アラゴとの対決とまでは行かずとも、東京で人間狩りが起こった時、あの場に居合わせたことがあったのだ。秀や遼との連携を取る必要もあるかもしれないと思ってのことだったのだ。その時に妖邪を退けたのも1度や2度ではない。鎧の力がまだ残っていたお陰で烈火剣を呼び出せたのである。オリジナルは遼が持っているので、レオンハルトが使った烈火剣はわずかに残った力の塊であった。とはいえ、それでも妖邪兵レベルには充分であった。
だが、結局はそういうことも無かった。むしろ奇妙な気配を感じ、眉をひそめた。-----その気配とは「輝煌帝」という鎧伝説の根本の存在である。レオンハルトはすぐに正体を突き詰めたが、柳生博士とコンタクトを取る前にアフリカからの来訪者によって遼が連れ去られたために傍観者となるしかなかったのである。
「これだけで充分です」
自分1人でも平気だったが、万が一のことを考えるとメッセンジャーが欲しかったのだ。

-----かくしてレオンハルトが江大人と「会談」を進めている時、5人はリトルトキオの墓場にて乱闘を繰り返していた。この時、ルナの危機を秀が救ったにも関わらず、助けられた本人といえば何処吹く風であったのはある意味哀しき事実である。

レオンハルトは傭兵たちについて江氏に問うた。見返りについてである。
「お気になされますな」
江大人はうなずいた。
「かつて、私も大戦中に金剛の奇跡を見ました。日本軍に蹂躙されるその時、確かに金剛が我々を救ったことを覚えておりまする」
無論、鎧の継承者の祖は大戦には一切関わらず、大戦そのものを止めようと奔走したことは知っております。
レオンハルトは柳生博士を思い出していた。今若き鎧戦士たちを導いている若い女性の方ではなく、昨年に急逝した老人の方である。神経質な人物だったという印象を持っている。鎧の歴史を調査していたことから、一族も密かに見張っていたのだ。彼が急逝した時、葬儀そのものが行われなかった。密葬をしたというので、葬式もないままだったという。だが、レオンハルトは知っていた。当代の烈火が柳生博士を、ナスティと純と一緒に弔ったのだ。残りの4人は柳生博士の存在も死も知らない。ナスティも遼もあえて言わなかった。純も2人の雰囲気を察して言わなかった。レオンハルトはわずかに残った烈火の力で遠く日本にいる遼の「衝撃」を感じたのである。
「だのに、救い主をそのように扱うことなど・・・」
「大人、それ以上おっしゃいますな」
レオンハルトは老人の言葉を止めた。いつ、どこで誰が聞いているのか。たった一言が原因で狙われることもありうる。今回は屍解仙がNGCのデータを元に、光輪を狙った。一応は大丈夫かと思うが、念のためである。
江大人は深いため息をつきながら頷いた。彼自身、「保守派」であることから見張られているのだ。
レオンハルトは江大人に頷くと、「傭兵」に向き直った。
「私ことレオンハルトが貴殿らの指揮を取る事になります。『戦略』においては貴殿らが専門家ですので、必要なこと以外は貴殿らの指示に従います。・・・今回のターゲットはあくまでも---先ほど見せました写真の2人ですので、他については一切干渉しないように」
間違って鎧戦士達とぶつかった場合のことを考慮して、ターゲットはあくまでも2人であることを強調した。
彼らのことだから大丈夫だろうが、眼前の傭兵達が鎧の恐怖を知っているとは思えなかった。
下手したらNYのような最悪なケースになるのだ。
それだけは避けたい。彼らに逃げ道を用意させてやりたいのだ。
言葉を聞いた専門家達は黙って頷く。

この時、リトルトキオでは喜劇の後、悲劇へのシナリオが進んでいた。
伊達征士は仲間に救い出され、1人の少女が純を庇い兄の仇を討とうとしたが、結局果たせず落命した。
※柳生博士の急逝については、こちらではTV版のシナリオを使わせていただきました。

光の王-「Fill in the Dream」 光の王-「闇よ落ちるなかれ」